木造薬師如来立像
神奈川県指定重要文化財
- 東光寺(とうこうじ)
- 木造薬師如来(もくぞうやくしにょらい)立像(りゅうぞう)
- 令和2年3月17日指定
概要
- 像高128.1センチメートル
- 寄木造(よせぎづくり)(注1) 彫眼(ちょうがん)(注2)
- 推定製作年代:建長8(1256)年3月8日(背面中央に墨書)
ヒノキの寄木造で、右手首先が失われ、左手首先、両足先が後世に補修されていますが、全体の保存状況は良好です。像の特徴は、全体の造りが簡素なものになっていることです。頭髪は螺髪(らほつ)とせず、渦巻状の線刻によって表現し、目鼻、袖、衣文(えもん)なども簡略な彫刻となっています。表面の彩色も頭髪が墨塗り、髪際に緑青線、眉・髭が墨描き、両眼白色彩など、頭部の一部に限られ、大部分を素地仕上げとしています。
このような特徴は、鎌倉時代に知られる、一日で造って供養した「一日造立仏(いちにちぞうりゅうぶつ」と共通しています。本像は、文献等の裏付けがなく、「一日造立仏」の確実な作例と断定はできないものの、体部背面の「建長八年三月八日」の銘記から、この日1日で造った可能性が強く、近年注目されるようになった「一日造立仏」に関する貴重な作例となります。
「一日造立仏」:病気平癒や祈雨(きう)(雨乞い)など一刻を争う時に速やかに造られたという、簡素な造りの仏像であり、文献では平安時代、院政期から知られるが、現存例は鎌倉時代の13世紀後半以降である。『吾妻鏡』文応元年(1260)8月12日に将軍宗尊親王(むねたかしんのう)が病気のため一日で薬師如来像を造り、薬師法を行なったこと、弘長3年(1263)11月8日に北条時頼(ほうじょうときより)の病気平癒を祈って等身の薬師像を一日で造ったという記事がある。
アクセス
- 所在地:秦野市南矢名366
- 交通:鶴巻温泉駅から秦野駅行きバス、宿矢名下車徒歩5分